特定空き家と管理不全空き家の違いは?実家じまい前に知るべき基礎知識

船橋不動産売却

代表取締役 高林 孝次

筆者 代表取締役 高林 孝次

不動産キャリア6年

親の自宅を相続する予定だけれど、このまま実家が空き家になってしまわないかと不安を感じていませんか。
最近は空家法の改正により、特定空き家だけでなく管理不全空き家という区分も新たに設けられ、実家じまいの進め方によっては固定資産税などの負担や行政からの指導といったリスクが高まっています。
しかし、あらかじめ仕組みを理解し、適切に管理や手続きをしておけば、親の自宅を守りながらスムーズに実家じまいを進めることは十分可能です。
この記事では、特定空き家と管理不全空き家の違いを整理しつつ、これから相続や実家じまいを考える人が押さえておきたいポイントを、行政の流れやペナルティ、具体的なチェック項目とあわせて分かりやすく解説します。



特定空き家と管理不全空き家の基礎知識

空家法は、適切に管理されていない空き家が防災や衛生、景観などに深刻な影響を及ぼしている状況を踏まえて制定された法律です。
ここでいう「空家等」とは、人が住んだり使ったりしていない状態が常態となっている建物とその敷地を指します。
また、国や地方公共団体が所有・管理するものは除かれるなど、対象範囲も法律の中で明確に定められています。
まずは、この法律の目的と基本的な用語を押さえることが、実家じまいを考えるうえでの出発点になります。

空家法では、単に使われていない空家等を対象とするだけでなく、その中でも状態が悪化したものを「特定空家等」として位置付けています。
特定空家等は、倒壊の危険性が高い場合や、衛生面の深刻な悪化、著しい景観悪化など、周辺の生活環境への影響が大きい空き家を指します。
さらに、令和5年の改正により、特定空家等になる前の段階である「管理不全空家等」という区分も新たに設けられました。
これは、放置すると特定空家等へ進行するおそれがある空家等に対して、早い段階から市区町村が指導や勧告を行うための仕組みです。

空家法のもとでは、「空家等」「管理不全空家等」「特定空家等」という用語の違いが、その後の行政からの対応や税負担にも関わってきます。
特に、管理不全空家等や特定空家等に認定されると、固定資産税の軽減措置が受けられなくなる場合があるため、相続予定の実家についても無関心ではいられません。
そのため、親の自宅が空き家になりそうだと感じた時点で、これらの用語と位置付けを理解しておくことが重要です。
用語の整理ができていると、将来の管理方針や実家じまいの進め方を考える際に、行政とのやり取りもスムーズになります。

用語 主な意味 実家じまいでの注意点
空家等 人が使っていない建物と敷地 早めの活用検討と基本管理
管理不全空家等 放置で特定空家等のおそれ 市区町村の指導対象となる段階
特定空家等 倒壊等で生活環境へ深刻影響 税負担増や行政代執行のリスク

特定空き家と管理不全空き家の違いを整理

管理不全空家等は、放置すれば特定空家等になるおそれがある段階の空き家とされています。
例えば、外壁や屋根の一部にひび割れや欠損が見られるものの、今すぐ倒壊する危険までは至っていない状態などです。
また、庭木や雑草が繁茂して通行のさまたげになったり、ごみの放置により悪臭や害虫が発生したりする場合も、管理不全空家等の典型例とされています。
さらに、玄関や窓の施錠が甘く、不審者の侵入が心配されるような防犯面の不安も管理不全の一要素と考えられています。

これに対して特定空家等は、倒壊等の危険や衛生上の有害性、著しい景観悪化などにより、周辺の生活環境の保全のため放置が不適切と判断される水準の空き家です。
空家法では、倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある状態、著しく衛生上有害となるおそれがある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態などが特定空家等に該当するとされています。
例えば、建物の傾きが明らかで、大きな地震や台風があれば倒壊が現実的に懸念される場合や、汚水の流出や大量の害虫発生が近隣の生活に深刻な支障を及ぼしている場合が挙げられます。
この段階になると、市区町村による勧告や命令、最終的には行政代執行による解体まで視野に入ることになります。

管理不全空家等から特定空家等へと悪化していく流れは、適切な管理が行われない期間が長くなるほど加速しやすいとされています。
国土交通省の資料では、管理不全空家等は特定空家等の予備軍として位置付けられており、そのまま放置すれば特定空家等となるおそれが大きい場合、市区町村長が指導や勧告を行う仕組みが示されています。
例えば、初期の段階では雑草やごみの散乱、防犯性の低下といった管理不全の状態にとどまっていたものが、時間の経過とともに雨漏りや構造部分の腐朽が進み、倒壊の危険や衛生被害が顕在化すると特定空家等として判断されやすくなります。
親の自宅を相続する前後の時期に、こうした悪化のサインを早めに把握し、管理不全の段階で手を打つことが実家じまいでは特に重要です。

区分 主な状態 行政からの対応
適切管理の空き家 定期巡回と清掃実施 特段の指導なし
管理不全空家等 劣化進行と雑草繁茂 市区町村からの指導
特定空家等 倒壊危険や衛生被害 勧告や命令・代執行

実家じまいで知っておきたい行政からの流れとペナルティ

空家等対策の推進に関する特別措置法では、危険な空き家を放置しないために、市区町村が段階的に関与する仕組みが設けられています。
まず所有者に対して、状況の改善に向けた助言や指導が行われ、それでも改善が見られない場合には、勧告や命令へと進みます。
命令にも従わないときには、行政が代わりに除却などを行う行政代執行が実施され、その費用は所有者等に請求される可能性があります。
実家じまいを検討する際は、この流れを早めに理解しておくことが、余計な負担を避けるうえで大切です。

管理不全空家等や特定空家等として市区町村から勧告を受けると、土地に適用されている固定資産税の住宅用地特例が解除される場合があります。
一般的な住宅用地では、この特例が外れると土地の固定資産税が概ね3倍から4倍程度に増えると説明されています。
改正空家法では、特定空家等だけでなく、将来特定空家等となるおそれがある管理不全空家等も、勧告段階で特例が外れる仕組みが導入されました。
税負担の急な増加や、最終的な行政代執行による費用請求を避けるためにも、早期の管理と対応が重要です。

実家が空き家になりそうな場合には、まず登記名義と実際の所有者が一致しているかを確認し、相続登記の有無を整理することが大切です。
あわせて、水道や電気などの契約状況、火災保険や地震保険の補償内容、管理に関する家族間の役割分担も早めに話し合っておくと安心です。
また、市区町村の空き家窓口や相談窓口の有無を確認し、必要に応じて助言を受けながら管理方法や今後の方針を検討するとよいでしょう。
こうした準備をしておくことで、管理不全空家等への指定やペナルティを受ける前に、実家じまいを計画的に進めやすくなります。

段階 所有者側の主な対応 放置した場合の主なリスク
助言・指導段階 現状把握と簡易な修繕検討 管理不全空家等への移行懸念
勧告・命令段階 修繕や除却の具体的実施 固定資産税特例の解除
行政代執行段階 行政との連絡と費用精算 代執行費用の負担発生

実家じまいで「管理不全」にしないための具体的チェックポイント

実家じまいを進めるうえで重要なのは、実家を長期間留守にしても「管理不全空家等」の状態にしないことです。
国土交通省は、空き家を放置すると老朽化や景観悪化、防犯上の問題など様々なリスクが高まるとしています。
そのため、日常的な管理と点検項目をあらかじめ家族で共有し、無理なく続けられる仕組みを作っておくことが大切です。
実家をいずれ手放すにしても、売却や活用ができる状態を保つ意識を持つことが、将来の負担軽減にもつながります。

実家を空き家にしないためには、まず郵便物や新聞の整理、通風・換気、雨漏りや外壁のひび割れなどの確認を定期的に行うことが基本です。
政府広報オンラインでは、空き家の管理として庭木の剪定や雑草対策、窓や扉の施錠状況の確認なども重要なポイントとされています。
これらを行うことで、不審者の侵入を防ぎやすくなり、近隣からの苦情やトラブルの発生も抑えられます。
自分たちだけでの管理が難しい場合には、早い段階で専門家への相談や管理方法の検討を始めると安心です。

長期不在が見込まれる場合や相続前後には、書類と連絡体制の整理も欠かせません。
空家法では、所有者に適切な管理と行政の施策への協力が努力義務として課されており、誰が窓口になるのかを明確にしておく必要があります。
固定資産税の納付書や建物の図面、保険契約、重要な連絡先などを一か所にまとめ、子世代が把握できるようにしておくと、緊急時にも迅速に対応できます。
親が元気なうちに、実家の今後の方針とあわせて、連絡先や鍵の管理方法を話し合っておくことが、管理不全化を防ぐ第一歩です。

実家じまいでは、「使う」「貸す」「売る」「解体する」といった選択肢を早めに検討し、方針に沿った管理を行うことが重要です。
国土交通省や政府広報オンラインでも、空き家は放置期間が長くなるほど劣化が進み、利活用が難しくなるため、早めの判断と行動が推奨されています。
特に、放置すれば特定空家等に該当するおそれが大きい状態を防ぐため、管理状況を定期的に見直し、必要に応じて修繕や除却、活用策を検討することが大切です。
親子で情報を共有しながら計画的に実家じまいを進めれば、管理不全空き家や特定空き家になるリスクを大きく減らすことができます。

項目 チェック内容 管理の目的
建物と外構 屋根外壁の劣化確認 倒壊事故の予防
敷地と庭 雑草庭木の手入れ 景観悪化の防止
防犯と連絡 施錠確認と連絡先 侵入被害と苦情防止

まとめ

特定空き家と管理不全空き家の違いを知ることは、親御さまの自宅を安心して「実家じまい」するための第一歩です。
放置が続くと、助言や指導だけでなく、固定資産税の優遇解除などのペナルティにつながるおそれもあります。
早めに名義や契約内容を整理し、日常の管理や点検方法を決めておくことで、「管理不全」への悪化を防げます。
「うちの実家は大丈夫かな」と少しでも不安を感じた方は、ぜひ当社へご相談ください。
現在の状態を一緒に確認し、無理のない実家じまいの進め方をご提案いたします。

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