遺言書がない実家相続で起こりやすいトラブルとは?兄弟間の対立を防ぐ基本と対策を解説

西船橋売却不動産

代表取締役 高林 孝次

筆者 代表取締役 高林 孝次

不動産キャリア6年

親の実家を相続するかもしれないと考えたとき、まず気になるのは遺言書がない場合にどんなトラブルが起こりやすいかという点ではないでしょうか。
特に、兄弟姉妹の人数が多かったり、介護や同居の有無など家庭の事情が絡むと、話し合いがスムーズに進まず、関係がぎくしゃくしてしまうことも少なくありません。
しかし、あらかじめ基本的な仕組みとよくある対立ポイントを知っておけば、いざというときに冷静に対応しやすくなります。
この記事では、遺言書がない実家相続の基本的な流れから、起こりやすいトラブルの具体例、そして子世代・親世代が今からできる現実的な対策までを、できるだけわかりやすく解説します。
将来、実家相続をめぐって家族が揉めないようにするためのヒントとして、ぜひ最後まで読み進めてみてください。


遺言書がない実家相続の基本と流れ

まず知っておきたいのは、遺言書がない場合には民法の「法定相続分」を基準として遺産を分けることになるという点です。
例えば、配偶者と子が相続人となる場合、配偶者は相続財産全体の2分の1、子は残り2分の1を人数で等分する割合が法定相続分とされています。
この法定相続分は、相続人同士の話し合いで合意ができないときの目安となる割合であり、必ずしもこの割合どおりに分けなければならないわけではありません。
しかし、実家など分けにくい不動産が含まれるときには、この法定相続分を踏まえて具体的な分け方を検討することが重要になります。

遺言書がない相続では、最初の段階で「誰が相続人になるのか」を正確に把握することが欠かせません。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本を取得し、配偶者や子、代襲相続となる孫など、民法上の相続人を漏れなく確認していきます。
同時に、実家の不動産、預貯金、有価証券、借入金など、プラスとマイナス両方の財産を一覧にする「財産調査」も行い、遺産全体の内容と大まかな価額をつかむことが大切です。
この相続人調査と財産調査が不十分だと、後から新たな相続人や財産が見つかり、遺産分割のやり直しやトラブルにつながるおそれがあります。

相続人と財産の全体像が把握できたら、次の段階として「遺産分割協議」を行います。
遺言書がない場合、遺産分割協議は相続人全員で行い、遺産の分け方について全員の合意を得ることが基本とされています。
これは、多数決ではなく、実家を誰が取得するか、他の相続人にはどのように代償金や他の財産で調整するかなどを話し合い、全員が納得できる合意を目指す手続きです。
合意した内容は、後の登記や金融機関での手続きに備え、相続人全員が署名押印した遺産分割協議書として書面にしておくことが望ましいとされています。

段階 主な内容 押さえたい要点
法定相続分の確認 配偶者と子など割合確認 話し合いの基準となる割合
相続人と財産の調査 戸籍収集と財産一覧作成 漏れのない相続人と財産
遺産分割協議 相続人全員で分け方決定 全員合意と書面化が重要

遺言書がない実家相続で起こりやすい主なトラブル

遺言書がない実家の相続では、まず「誰が住み続けるか」と「不動産を売却するか」が大きな争点になりやすいです。
特に、同居していたきょうだいは「自分が住み続けたい」と考えやすい一方で、別に暮らすきょうだいは「売却して現金で平等に分けたい」と感じることが多いです。
また、法定相続分どおりに権利が発生するため、持ち分の調整や代償金の負担を巡って話し合いが長期化するおそれがあります。
このように、実家という生活の拠点をどう扱うかが、感情面とお金の面の双方で対立を生みやすいのが特徴です。

さらに、介護や同居、仕送りなど、親に対する日頃の支援を「どこまで評価するか」も、遺言書がない相続でしばしば問題になります。
長年介護を担ってきた子は「自分の取り分を多くしてほしい」と考えやすい一方で、別居していた子は「法定相続分どおりに分けるべき」と感じることがあります。
民法上は、被相続人の財産形成や維持に特別の寄与があった相続人について、寄与分として考慮される制度がありますが、その内容や金額は相続人同士の話し合いで決める必要があります。
この評価の差が、過去の不満を掘り起こす形で感情的対立につながりやすい点に注意が必要です。

話し合いがまとまらないまま時間が経過すると、最終的には家庭裁判所での調停や審判に進むことがあります。
家庭裁判所では、中立的な立場から調停委員があっせんしますが、資料の準備や出席のための時間的・精神的負担は小さくありません。
調停でも折り合いがつかない場合、審判で家庭裁判所が遺産分割の方法を決定することになりますが、その結果は当事者の希望と異なる内容になる可能性があります。
また、手続が長期化すると、その間も固定資産税などの維持費がかかり続けるため、経済的な負担も増大しやすくなります。

場面 起こりやすい対立 主なリスク
居住か売却かの判断 同居側と別居側の意見対立 話し合いの長期化・関係悪化
介護などの貢献度 取り分の増減を巡る主張 感情的対立・寄与分の争い
家庭裁判所での手続 調停・審判まで進む状況 時間的負担と費用負担の増加

実家相続のトラブルを深刻化させる要因と注意点

家族構成が複雑な場合、遺言書がない実家相続では、相続人の範囲や取り分をめぐる認識の違いから、話し合いが難航しやすくなります。
例えば、再婚で前配偶者との子と現配偶者がいる場合や、子どものいない夫婦で兄弟姉妹が相続人になる場合などでは、利害関係が重なり合います。
また、一次相続の内容が二次相続の税負担や取り分に影響するため、「自分が損をするのではないか」という不安が感情的対立を生みやすい点にも注意が必要です。
こうした状況ほど、誰が相続人になるのか、どのような割合で相続するのかを、早めに整理して共有しておくことが大切です。

次に、実家の名義変更や相続登記を長期間放置すると、相続人の数が増え続け、合意形成が極めて困難になるおそれがあります。
相続登記は、放置しても所有権が自動的に失われるわけではありませんが、年月の経過とともに、相続人の死亡や転居により連絡が取れなくなる事態が起こりやすくなります。
さらに、将来売却や建て替えを検討したくなっても、相続人全員の同意や書類が集められず、手続きに多くの時間と費用がかかることがあります。
そのため、相続が発生した段階で、できるだけ早期に相続登記を行い、名義を整理しておくことが重要なリスク対策になります。

また、実家相続では、相続税や固定資産税、修繕費など「お金の負担」が一部の人に偏ることが、深刻なトラブルの火種になりやすいです。
実家に住み続ける人と、住まない人とでは、日常的な維持管理や固定資産税の支払いをどう分担するかについて、事前に十分な話し合いが行われていないことが少なくありません。
さらに、実家の評価額や税額について正確な情報が共有されていないと、「損をしている」「得をしている」という不公平感が膨らみやすくなります。
したがって、税負担や維持費の考え方を、相続人同士で数値を確認しながら明確に取り決めることが、感情的な対立を防ぐうえで欠かせません。

場面 深刻化しやすい要因 主な注意点
家族構成が複雑な相続 相続人の範囲の誤解 法定相続人の早期確認
名義変更や相続登記の放置 相続人増加による調整困難 相続発生後の速やかな登記
税金や維持費の分担 負担感の偏りと不信感 費用負担の事前ルール化

遺言書がない実家相続トラブルを防ぐ現実的な対策

遺言書がない実家相続では、相続人同士の認識のずれがそのまま深刻な対立につながりやすいため、親世代が元気なうちから準備することが重要です。
まず、家族で話し合う際には、誰がどのような形で実家を利用したいのかという希望と、維持管理にかかる費用負担の考え方を率直に共有することが大切です。
そのうえで、相続人全員が「最悪の場合でも受け入れられるライン」をあらかじめ確認しておくと、いざ相続が発生したときの衝突を和らげやすくなります。
親世代が話しづらさを感じている場合には、相続全体の相談という切り口から実家の将来を取り上げると、話題にしやすくなります。

相続トラブルを予防するうえで、法律上の効力が高い遺言書として、公証人役場で作成する公正証書遺言があります。
公正証書遺言は、公証人が関与して作成し、原本が公証人役場で保管されるため、方式の不備による無効や紛失・改ざんのリスクが低いことが特徴です。
また、自筆証書遺言についても、法務局で保管する制度を利用すれば、家庭裁判所の検認が不要になるなど、手続き面での負担軽減が期待できます。
どの方式を選ぶにしても、遺留分や法定相続分との関係を踏まえながら内容を整理し、実家の扱いをはっきり示しておくことが相続人同士の対立防止に役立ちます。

さらに、実家の扱いについて「住み続ける」「貸す」「売る」「共有にしない」などの選択肢を早めに検討しておくことも大切です。
特に、共有名義のまま放置すると、将来の売却や建て替えの際に多数の相続人の同意が必要となり、手続きが著しく複雑になるおそれがあります。
そのため、「誰が名義を引き継ぐか」「名義を引き継がない人にはどのような形で金銭的な調整を行うか」などを、遺言書とあわせて具体的に決めておくことが望ましいです。
あらかじめ方針を固めておけば、相続開始後の判断に迷いが生じにくくなり、相続登記や名義変更の手続きもスムーズに進めやすくなります。

対策の場面 主なポイント 期待できる効果
家族での事前相談 希望と負担の見える化 感情的対立の予防
遺言書の作成 公正証書遺言の活用 相続手続きの円滑化
実家の扱いの決定 共有回避と名義整理 将来の手続き簡素化

まとめ

遺言書がない実家相続では、法定相続分に従う必要があり、誰が住むか・売却するかで意見が割れやすくなります。
さらに、介護や仕送りへの不満、名義変更の放置、税金負担の偏りが重なると、家庭裁判所での調停にまで発展するおそれもあります。
親世代が元気なうちに実家の扱いを家族で話し合い、公正証書遺言の活用や、不動産の具体的な方針を早めに決めておくことが大切です。
当社では、相続前のご相談から実家の活用方法まで丁寧にサポートいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください

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