『相続前』に実家について家族で話しておくべきポイントは?元気なうちに準備したい話し合いの進め方

船橋不動産売却

代表取締役 高林 孝次

筆者 代表取締役 高林 孝次

不動産キャリア6年

親が元気なうちに実家と相続の話をしておきたいと思いながら、何から切り出せばよいか分からず、つい先延ばしにしていないでしょうか。
しかし実家のことを話し合わないまま相続を迎えると、空き家化や維持費の負担、きょうだい間のトラブルなど、後から大きな問題になることがあります。
その一方で、少し早めに家族で実家の現状や今後の方針を共有しておけば、手続きもスムーズになり、心の負担も軽くできます。
この記事では、相続前に実家について家族で話しておくべきポイントを、事前準備から具体的な話し合いのテーマ、お金と相続の基本まで分かりやすく整理します。
これから実家と向き合うための第一歩として、ぜひ参考にしてください。


相続前に実家の話し合いが必要な理由

実家を相続したあと、誰も住まないまま放置すると、空き家化による老朽化や景観悪化だけでなく、防災面や防犯面のリスクも高まります。
総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、全国の空き家数が約900万戸、空き家率が13.8%と過去最高となり、空き家問題が身近な課題になっていることが示されています。
管理されていない空き家は、草木の繁茂や害虫の発生、倒木や建物の一部落下などにより、近隣住民とのトラブルや行政からの指導につながるおそれがあります。
このような事態を防ぐためにも、相続が発生する前から、実家をどう扱うかを家族で話し合っておくことが重要です。

相続が起きてから慌てて話し合いを始めると、感情的な対立が生じやすく、遺産分割協議が長期化しやすくなります。
一方で、親が元気なうちから「誰が住むのか」「管理はどうするのか」といった方針を共有しておくことで、相続発生後の手続きが円滑に進みやすくなります。
事前に意向や役割分担を言語化しておけば、相続人同士の認識のずれを小さくでき、いわゆる争族の防止にもつながります。
さらに、売却や賃貸の可能性も含めて方向性を整理しておくと、必要な準備や資金計画を早めに立てやすくなります。

近年は、空き家の増加や所有者不明土地の拡大が社会問題となり、国も対策を強化しています。
令和6年4月からは、相続によって不動産を取得した相続人に対し、原則として取得を知った日から3年以内の相続登記申請が義務付けられました。
また、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、管理不全な空き家や周辺に悪影響を及ぼす特定空家等に対しては、指導や勧告、場合によっては行政代執行が行われる仕組みも整えられています。
このように制度面の動きも踏まえると、実家を相続する可能性がある家族ほど、登記や管理の方針を早めに話し合っておくことが大切です。

放置した場合の主なリスク 事前に話し合うメリット 押さえておきたい制度
空き家化による老朽化 相続手続きの円滑化 相続登記の申請義務化
雑草や害虫による近隣迷惑 争族リスクの低減 空家等対策特別措置法
行政からの指導や勧告 維持費負担の見通し共有 所有者不明土地への予防

家族で話す前に整理しておきたい「実家の現状」

まずは、実家の名義や持分、住宅ローンの残高、担保設定の有無といった権利関係を整理しておくことが大切です。
登記簿謄本を確認すれば所有者や持分割合、抵当権などの権利関係が分かります。
また、住宅ローンが残っている場合は、返済予定表や金融機関からの明細を手元にそろえておくと、相続時の負担イメージを共有しやすくなります。
さらに、固定資産税の納税通知書から固定資産税評価額を把握しておくことで、相続税評価額の目安や将来の税負担を見通しやすくなります。

次に、建物や敷地の状態を冷静に確認しておくことが重要です。
屋根や外壁のひび割れ、雨漏りの有無、給排水設備の不具合などは、老朽化の進行度を判断するための分かりやすい手掛かりになります。
あわせて、日当たりや周辺環境、公共交通機関までの距離など、立地条件も整理しておくと、将来の利用や売却のしやすさを検討しやすくなります。
これらの状況から、近い将来に必要となりそうな修繕費や、空き家となった場合の管理費用の概算を家族で共有しておくと安心です。

加えて、親と子それぞれの暮らし方や今後の予定も、事前に整理しておくことが欠かせません。
親がどのくらいの期間を目安に現住居で暮らしたいと考えているのか、介護が必要になったときの住まい方をどうイメージしているのかを、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
子世代についても、現在の居住地や将来の転勤・転居の可能性、実家に同居する意思の有無などを書き出しておくと、話し合いの際に意向を比較しやすくなります。
このように、一人ひとりの事情を整理したうえで実家の現状を重ね合わせることで、無理のない相続や住まい方の方向性を見いだしやすくなります。

確認項目 主な内容 整理の目的
権利関係と評価額 名義・担保・固定資産税評価額 相続税や手続き負担の把握
建物と立地の状態 老朽化状況・周辺環境 修繕費や維持管理費の見通し
家族それぞれの事情 居住予定・介護の見通し 無理のない利用方針の検討

相続前に家族で話し合っておくべき具体的なポイント

まず確認しておきたいのは、相続後に「誰が実家を使うのか」という点です。
親が住み続けるのか、子世代の誰かが同居するのか、それとも誰も住まず一定期間は空き家になるのかで、その後の選択肢や費用負担が大きく変わります。
あわせて、実家の管理を実務として担う人を決めておくと、庭木の手入れや換気などの対応が途切れにくくなります。
国土交通省も、管理されない空き家は資産価値の低下や近隣への迷惑につながるおそれがあるとして、早めの方針決定と適切な管理の重要性を示しています。

次に、実家を「残す・貸す・売る・建て替える」といった主な選択肢を、家族で整理しておくことが大切です。
同じ「残す」場合でも、自宅として住み続けるのか、将来の二拠点居住を視野に入れるのかによって、リフォームや耐震改修の必要度が異なります。
また、売却や賃貸を選ぶ場合には、建物の老朽化や立地条件、周辺の空き家対策の動きなどを踏まえ、どの程度の期間と費用をかけるのかを検討しておくと、相続発生後の判断がスムーズです。
こうした利活用の検討は、空き家の発生抑制にもつながるものとして、国土交通省の空き家対策関連情報でも重視されています。

さらに、兄弟姉妹がいる場合は、役割分担と費用負担の考え方を具体的に共有しておくことが欠かせません。
たとえば「管理を主に担う人」と「費用を多く負担する人」が異なる場合、将来の遺産分割の場面で不公平感が生じやすくなります。
相続登記が令和6年4月から義務化され、一定期間申請しない場合には過料の対象となるため、誰が手続きを進めるかをあらかじめ決めておくことも重要です。
このように、「利用方針」「管理・手続きの担当者」「費用と遺産分割の考え方」という三つの軸をそろえて話し合っておくことで、親が元気なうちから家族の合意形成がしやすくなります。

話し合うべき軸 主な確認内容 決めておきたい点
利用方針 誰が住むか・使うか 居住者と利用期間
管理と手続き 日常管理と相続登記 実務担当と手順整理
費用と分配 維持費と将来の分け方 負担割合と合意記録

話しづらい「お金と相続」の論点を押さえる

まず押さえておきたいのは、実家に関わる主なお金として、相続税と固定資産税があることです。
相続税は、相続財産の総額から基礎控除などを差し引いた後の金額に対して課税される仕組みで、基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と定められています。
一方、固定資産税は毎年の固定資産税評価額に基づいて算定され、多くの住宅では住宅用地の特例などにより税負担が軽減されています。
このように、相続税と固定資産税では課税の考え方が異なるため、それぞれの基本的な仕組みを家族で共有しておくことが大切です。

次に考えるべきなのは、相続税の納税資金や、相続後の維持費をどのように準備するかという点です。
相続税は原則として相続開始から10か月以内に現金で納付する必要があるため、貯蓄や生命保険、金融資産の取り崩しなど、どのように現金を確保するかを事前に話し合っておくと安心です。
また、実家を維持する場合は、固定資産税に加えて、修繕費や保険料、共用部分の管理費など、継続的な支出が発生します。
将来、屋根や外壁、水回りなどの大規模なリフォームが必要になる可能性も踏まえ、数年先までのおおまかな費用計画を立てておくとよいです。

さらに、親の意思をどのような形で残しておくかも重要な論点です。
公正証書遺言や自筆証書遺言などの法的な手段に加え、エンディングノートやメモに、実家を誰に引き継いでほしいか、売却や活用に対する考え方、葬儀や供養に関する希望などを書き残しておくと、遺された家族の負担が軽くなります。
ただし、エンディングノート自体には法的な効力がないため、具体的な遺産分割や税金の相談が必要だと感じた段階で、税理士や弁護士、司法書士などの専門家へ早めに相談することが望ましいです。
親が元気なうちに、これらの書類づくりや相談のタイミングについて家族で話し合っておくと、相続発生後の手続きがスムーズになります。

確認すべきお金の項目 主な内容 家族で話すポイント
相続税と納税資金 基礎控除額や納付期限 現金準備の方法と負担割合
固定資産税と維持費 毎年の税額と修繕費 誰が負担し管理するか
親の意思と記録方法 遺言書やエンディングノート 希望内容と専門家相談の時期

まとめ

実家と相続のことは、親が元気なうちに家族で話し合うほど、後の手続きや負担を大きく減らせます。
権利関係やローン、固定資産税評価額、建物の状態や維持費の見通しを早めに整理しておくことで、空き家化や近隣トラブルのリスクも抑えられます。
「誰が住むか」「誰が管理するか」「費用をどう分担するか」を共有し、親の希望もメモなどで残しておくことが安心につながります。
当社では、実家の現状整理から今後の方針づくりまで丁寧にサポートしますので、まずはお気軽にご相談ください。

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